近視があると将来目の病気になりやすいことをご存知ですか?
以前から近視の人の増加が問題となっていますが、外遊びの時間が短くなっていることやスマートフォンの普及などにより、近視の低年齢化と近視の度合いが強くなってきています。
皆さんご存知の通り、一度進行した近視は元に戻りません。
近視が進行してもメガネやコンタクトレンズを使用すれば良い、とお考えの方が多く、近視の裏に潜む目の病気のリスクについてご存知の方は少ないように感じます。
そこで今回は、眼科専門医の立場から近視進行による目の病気のリスクと、近視進行抑制治療のメリットについてお伝えしたいと思います。
■近視とは
近視とは一般的に遠くが見づらくなる状態のことと認識されていますが、医学的には眼軸長(目の奥行の長さ)と角膜・水晶体の屈折力(光を集中させる力)のバランスが悪く、網膜の手前で焦点を結ぶ状態を指します。
正視 近視
眼軸長は体の成長と共に伸びていき、一度伸びると短くなることはありません。これが、一度進行した近視が元に戻ることが無いことの主な理由です。
眼軸長が伸びる要因として、遺伝要因と、環境要因が関係していると考えられています。
■近視によるリスク
近視が進行(≒眼軸長が伸びる)し、強度近視になると眼球が引き延ばされることで、様々な病気を発症するリスクが高まることがよく分かっています。
強度近視の合併症
・緑内障
・網膜裂孔、網膜剥離
・黄斑変性
・近視性脈絡膜新生血管
これらの病気は視力の低下や失明を招く病気で、一度進行すると回復しないものや、ある程度症状が進行しないと自覚されづらいものなど、注意が必要な病気です。
そのため、近視が強い方は定期的に眼科を受診し、なんらかの病気を発症していないか確認されることをお勧めします。
いずれも病気も50代以降の年齢が上がってから発症してくるため、若い方には遠いことに感じるかもしれませんが、いくつになっても良く見えることに越した事はありません。
■近視進行抑制治療とメリット
一度進行した近視は元に戻すことができませんが、成長期(眼軸長が伸びる時期)に適切な治療を行うことで進行をゆるやかにできることが分かっています。
近視進行抑制治療は、近視の進行をゆるやかにすることが目的と思われる方がほとんどですが、将来の近視の度合いを軽減することで多くの合併症のリスクを低下させることもこの治療の大きなメリットの一つです。
学校健診などでお子様の近視が見つかった場合は、将来どのくらいまで近視が進行するか、調べてみても良いでしょう。
当院は小児の眼軸長解析ソフトウェア「Axial Manager™」を導入し、お子様の眼軸長の伸びを解析し、今後の進行を予測しています。
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近視進行抑制治療としては点眼薬や、コンタクトレンズを用いた治療があります。
当院でも近視進行抑制治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。
治療についてもこちらのページに詳しく記載しています。