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白内障手術のレンズって入れ替えられる?

白内障手術を検討している患者さんから

「手術で入れるレンズは入れ替えできますか?」

「手術後にレンズを交換することはできますか?」

といったご質問を頂戴することがあります。

 

そこで、今回は白内障手術後のレンズの入れ替え、交換について、これまで数多くの白内障手術を執刀してきた経験からお答えしたいと思います。

 

 

白内障について知りたい、という方はこちら

白内障の手術について知りたい、という方はこちら

 

結論から言いますと、レンズを入れ替えることは技術的には可能ですが、入れ替え手術によるデメリットを考えると積極的に推奨されるものでは無い、と考えております。

 

手術をすることのデメリットの一つとして、“角膜内皮細胞の減少”があります。

角膜の透明性を保つ細胞を角膜内皮細胞と呼び、これは再生することが無く、加齢や、コンタクトレンズの使用、手術などの影響で減少していきます。

一定以下に減少すると、角膜の透明性が保てなくなり、視力が低下します。これは、目の表面そのものが濁ることによる視力低下ですので、メガネやコンタクトレンズでは改善せず、角膜移植が必要となります。

 

白内障手術をすると、角膜内皮細胞が1割程度減少すると言われています。

この細胞は、正常な方であれば1㎟あたり、2,500~3,000個程度です。

これが、500個以下となると角膜が浮腫を起こし、混濁を生じますので、手術することのデメリットがお分かりいただけると思います。

 

どうしても入れ替えが必要な状態としては、

1レンズの問題(レンズの脱臼、落下など。まれにレンズ自体の問題)

2見え方が合わない

のいずれかが考えられます。

 

1のレンズの脱臼や、落下は構造上の問題であり、外傷や加齢などでレンズがズレることが原因です。これは他の疾患同様に完全に防止することはできませんので、発生してしまったら再手術を行います。

 

2の見え方が合わないという問題は、多焦点レンズの登場により時々起こるようになりました。これは、多焦点レンズに過剰な期待を抱いていたり、医療機関側が患者さんのライフスタイルを十分に理解できていない場合に発生します。

これは手術前に適切な説明を行い、患者さんのライフスタイルを理解することである程度防げる問題ですので、当院では医師からの説明に加え、動画による説明や、専門のスタッフのカウンセリングを行っています。

 

手術そのものは日帰りで行え、負担の少ないものですが、その後の見え方を左右しますので、安心できる医療機関で手術を受けることをお勧めいたします。