検診でよく指摘される視神経乳頭陥凹拡大とは?
健康診断や人間ドックで、「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘され、受診される方が増えています。
視神経乳頭陥凹拡大が何なのか、どのような危険性があるのか、など不安を抱えている患者さんが多いので、今回は視神経乳頭陥凹拡大について、眼科専門医の立場から解説したいと思います。
■視神経乳頭陥凹拡大を指摘されたらどうすれば良い?
視神経乳頭陥凹拡大を指摘された場合は、早めに眼科を受診するようにしましょう。
眼科では眼圧検査や、網膜の状態を詳しく調べられるOCT検査、視野検査、眼底検査などを行って、緑内障や他の病気の有無を診断します。
生まれつき視神経乳頭陥凹が大きくて病気でないもいらっしゃいますが、様子を見ても問題ないものかどうかは、詳しく調べてみないと分かりませんので、まずは眼科を受診し病気の有無を診断してもらうと良いでしょう。
■視神経乳頭陥凹とは
目に入った光は網膜にある視細胞で電気信号に変換されます。
その電気信号を脳に伝達する神経を視神経と言い、視神経乳頭と呼ばれる部分で、視神経線維が集まって脳に向かいます。
視神経線維が折れ曲がって脳に向かうため、視神経乳頭の中央部はくぼみになります。
このくぼみを視神経乳頭陥凹と呼びます。
■視神経乳頭陥凹拡大とは
視神経乳頭陥凹は視神経線維の数が正常であれば、たくさんの繊維があるのでくぼみが小さいのですが、視神経の数が減ると薄くなりくぼみが大きくなります。
この状態を視神経乳頭陥凹拡大と言います。
実は、視神経乳頭陥凹の大きさは個人差があるため、視神経乳頭陥凹拡大と指摘されたからと言って、必ず視神経の数が減っているというわけではありません。
■視神経乳頭陥凹拡大で疑われる病気
視神経乳頭陥凹が大きくなる病気の代表的なものに緑内障があります。
緑内障は徐々に視野が欠ける病気で、現代の日本の失明理由の第一位の病気です。
治療をしても一度失った視野が回復することは無く、進行を緩やかにしたり、止めたりすることを目的に治療を続けていくため、早期発見・早期治療が重要な病気です。
緑内障について詳しくはこちら
その他の病気としては、強度近視、上方視神経乳頭部分低形成(SSOH)、視神経乳頭小窩、視神経萎縮、網膜静脈閉塞症後などがあります。
いずれにしても、視神経乳頭陥凹拡大を指摘された場合は、早めに眼科を受診すると良いでしょう。
過去に視神経乳頭陥凹拡大を指摘され、病気では無いと診断された方でも、5年後、10年後に緑内障を発症することもよくあります。緑内障は発症しても自覚症状がないため、詳しく調べてみないと大丈夫かどうかはわかりません。
視神経乳頭陥凹が拡大していると一度でも指摘された方は、少なくとも数年に1度は眼科を受診することを強くお勧めします。